一度は触れようリリカリオン
そういえば、TECH GIANは購入したことのない@more_iyanです。こんばんわ。
今回は2012年に頒布された、『リリカリオン』について書こうと思います。
ゲーム紹介
ゲームタイトル:リリカリオン
ゲームデザイン:おおはら
イラストレーション:トモショウ
プレイ人数:2−4人
プレイ時間:約20分
製作(出版):翠屋本舗
マニュアルにも記載されているように、ベースとなったゲームの元となる作品はスティーブ・フィンの『ビブリオス』です。ゲームの流れ自体も、ほぼ同じ。
では、リリカリオンはビブリオスの劣化ゲーなのかと問われると、私ははっきりと「劣化ゲーではなく、オリジナルを超える要素や楽しみ方はいくつもあるよ」と答えます。
もちろん、ビブリオスも(3人プレイでは特に)充分なくらいに楽しいのですが、リリカリオンでより楽しめる要素を、具体的に、オリジナル(ビブリオス)と比べながら紹介しようと思います。
あっちは聖書、こっちはハート
まずは見た目でもはっきりとわかる違いで、世界観。
あっち(ビブリオス)は、厳かに聖書を構成する染料やお金をゲーム中に集めます。
こっち(リリカリオン)は、和やかにヒロインがもち合わせる好感度や魔法をゲーム中に集めます。
かたや聖書、かたやヒロイン。
この世界観の違いようこそ、もっとフォーミーたる所以の一つであり、最大のそれでもあります。
萌え系テーマな事で距離を置く方もいらっしゃるかな、という点も承知の上ですが、『ときめきメモリアル』をシリーズ累計1500時間以上もプレイしている人間にとっては、聖書作りよりも彼女作りに惹かれてしまうのです。ええ。
サマリー1つで2つのメリット
続いてコンポーネント。
ビブリオスでは、いわゆる勝利点をダイスの目で表すのですが、リリカリオンではこれらも全てカードで表します。この点は、圧縮のしやすさ、パッとゲームを目にした時のユニークさで一長一短かな、とも思います。
ところが。リリカリオンがより素晴らしいのは、『勝利点カードが、ゲーム中に使用されるカードサマリーも兼ねている』という点です。もう少し詳しく書くと、ヒロイン(勝利点)のカードそのものに、獲得のために関わるカードの内訳が書かれています。
利点は2つ。
1つは、インストの際ヒロイン(勝利点)のカードを見せることで、関わるカードの種類や内訳をわかりやすく説明できる点です。
もう1つは、ヒロインのカードは終始テーブルの上に置かれているので、内訳の確認が容易である点です。
ヒロインは計6人ゲーム中に存在する中で、ルール上、「どのヒロインを狙い、どれ程のマジョリティを押さえておくか」が重要なので、いつでもカードの内訳を確認できる事は非常にありがたいのです。
お金から魔法へ、魔法から勝利へ
次はルール。
リリカリオンはビブリオスのルールからいくつかのアレンジが加えられています。最たるものが、『お金』と『魔法』の違いです。
両者とも、ゲームの流れは、「ドラフトを利用して手札と競り札を各プレイヤーで作る。その後、作った手札を資源に競り札を獲得し、勝利点を手に入れられるような手札へと整えていく」です。ものすごくざっくりと書くと、こんな感じでしょうか。
ビブリオスでは、競りに出されたカードは基本的にお金カードで競り落とします。そして、最終的に手札に残ったままのお金カードは、何の得点源にもなりません。
一方、お金カードではなく魔法カードを使うリリカリオンでも、競りに基本的には魔法カードを用います。ところが、リリカリオンでは最終的に手札に残った魔法カードでも、ヒロインを獲得できる。つまり、得点源になるのです。
たったこれだけのアレンジでも、宝の持ち腐れ感がぐっと薄らぎ、より多くの思惑の絡みがルールによって生み出されています。
かわいい世界とやさしいビッド
最後はプレイフィール。
アートワークはもちろん、競りでのルール周りも、リリカリオンの方が”やさしい”です。
釣り上げ、ブラフも込み込みのシビアな競りが好みであれば、断然ビブリオスをお勧め致します。
リリカリオンでは、競りに関してはかなりシンプルなルールです。極端な書き方をすると、ビッドかパスかの一周競り。このくらいにまで易しい方が、世界観の優しさとも相まっていて、好みです。
最後に
いろいろつらつらと書きましたが、実のところ、私自身はリリカリオンのベースとなるテーマの『リリカルなのは』をよく知りません(コミケの度に、『なのは完売』のネタツイートがTLで流れるのと、『とらハ』本作はどうなってんの? ってくらいの知りようです)。
そんな人間でもリリカリオンは楽しめるので、世界観がお嫌いでなければ、是非。
また、リリカリオンもビブリオスがあってこそ、今現在頒布されているものだとも思います。再販を待ち焦がれなくて済むよう、在庫が流通している今こそビブリオスも、是非。
どちらも、ドラフトと競りをコンパクトな時間とコンポーネントで遊びたい際にお勧めです。